「ごめんなさい……声が聞きたくて……」
「大丈夫、ね、今度二人で何処か行こうか」
それは所謂"デートのお誘い"で今すぐにでも返事をしたいのに愚痴が出てくる。
「でも……時間がないです、直ぐ帰って来いって言われるし……」
「じゃぁ、こうしよ、嘘吐けばいい、出来るだけ時間が取れる嘘」
涼太は軽い口ぶりで言うけれど、どんな嘘があるのか知りたくて訊いた。
「どんな嘘ですか?」
「そうだな……柚月、兄弟は?」
質問の意図が掴めず素直に答えていく。
「姉が一人と兄が一人です」
「末っ子か、通りで……二人は何歳?」
「姉が33で、兄が30です」
その言葉に涼太はふと笑って言った。
「お姉ちゃんを結婚させよう、あ、どっちでもいいか」
一瞬意味が判らなくて止まり、何となく理解始めた頃に涼太が口を開く。
「決まり、今から言うこと覚えて、今日でも明日でもいいから嘘を吐いて、来週の金曜日の午前10時に柚月の自宅から近い最寄の駅で待ってる、分からなかったらその日に電話して、いい?」
一つ一つ丁寧に頭の中で繰り返して記し、短い返事をすると電話は切れた。



