コンコン。

窓の外。
それを叩く音がして、春香は震える。
恐る恐る、カーテンを少し開いて、隙間から、外を覗こうとする。

男が一人。
近くの高校の制服を着ている。
その顔を、春香は知っている。

「誰」

「谷川」

谷川―フルネーム谷川亮―。
春香の失恋相手だった。

春香はカーテンを閉めた。
姿を見るのは、辛かった。

「こんな遅くに。失礼じゃない」

「まだ9時だけど」