薫が彼に質問しようとした時、照明がゆっくりと暗くなっていく。
 ミキとは何回もプラネタリウムに来ているはずだ。星空がとても綺麗だってことはわかっているはずなのに。そう思った時、薫の手が温かい感触に包まれた。


 「ミキ………?」
 「寝ちゃうか心配なら、僕が寝ないように手を握ってて、ね?」
 「うん………」


 指を絡めて手を握る。
 薫は何故か不安になってしまい、ギュッと彼の手を握りしめる。すると、ミキは小声で「だから寝ないから大丈夫」と、耳元で囁いてくれたのだ。
 その声を聞くと、原因がわからないとりとめもない不安が、少しずつ和らいでいくのがわかった。


 今回のプラネタリウムは秋から冬へとかわる星空。そして、その中の星座の神話の話だった。星空に、感動しながらも彼はプラネタリウムを楽しんでいるのだろうかと気になり、ちらりと横顔に盗み見た。
 すると、彼はプラネタリウムの映像に夢中になってキラキラとした瞳で見つめていた。少し口を開けているのが集中している証拠のようだ。薫は、クスリと笑ってわざと彼の手をギュッと握りしめる。すると、ミキはこちらに気づいて「………すごいね!綺麗だし、話も面白いね」と、小さな声だったが興奮した口調で教えてくれた。