委員長が颯爽と走り去って、外からの爆音と衝撃が来て、剣持さんがロリの魔女っ子とダサジャージの吸血鬼を連れてきたことによって脳がパンクしちゃったひまちゃんは保健室で一時的休息に入った。

「叶〜、お前先生なんてやってたのかぁ。すげーなぁ」

「葛葉は相変わらずだね。まだ石油王探してるの?」

「あー、ブタに諦めろ、いい加減職に就けって言われてっけどなぁ」

「待って、待ってくれ。状況がよく分からない」

もう1人ベッドに横たわりたそうになってる生徒が状況整理と説明を求めてきた。

「そうだね、説明しよっか」

***

割と長くなったので割愛する。簡単に言うと、この世には世界線っていう、要はパラレルワールド的なものがいくつかあってその中の第3世界線で元は交わることが出来なかった世界線同士がぶつかり合って境界が崩れてしまうほどの事が起きてしまった。その原因となった『エクス・アルビオ』を生きて捕えることが勇気ちひろ、鈴鹿詩子、月ノ美兎の目的である。

「…ちょっと待って?」

「待ってばっかだなもちさんは」

まぁ無理もないか。もちさんのいるこの第4世界線は魔法も化け物もいない至って『普通』の世界線なんだろうしな。

「仕方が無いよ、葛葉。彼らの常識を超えているんだし。…それで?剣持さんは何が聞きたいの?」

「…あぁ、えっと、なんで世界線の話で委員長が出てくるんだ?委員長は僕の幼馴染みで…」

「それは簡単な話ですよ、剣持さん」

窓から声がしたのでみんなで振り返る。そこには当人、月ノ美兎が窓から侵入している途中だった。

「委員長…せめて扉から入りましょうよ…」

もちさんが呆れたように呟く。

「あ、いたいた。ちーちゃん、ちょっと報告と頼みたいことがあるのでこっちに来てもらっていいかな?」

「ぇう!」

「んっと、そんで?話の続きしよーぜ」

2人が保健室から出ていき、改めて話を切り出す。

「そうですね。確かなんでわたくしがこの世界線の住人ではないか、でしたよね」

「それはね、僕とひまちゃんみたいな感じだよ」

「えぇ、まさしくそんな感じです。まぁ簡単に言えば、生まれは違うけど引っ越してきてこっちに来た感じですかね?」

大雑把に説明した委員長に、もちさんはまだ不満げだった。

「そんなの、有り得ないじゃん…」

「そうですね、この世界線では有り得ませんね」

絶句するもちさん。まぁそらそうだわな…。なんとも言えない雰囲気の中、黄色い猛獣が起きた。