「…んぅ……」

眩しい日差しで目が覚めた。朝だ。しかしながら僕が布団から出ることは無い。なぜなら睡魔と一晩温もりを与え続けた布団が僕を離してはくれないから。
再び安らぎの闇へと身を投じようとした時、スマホから着信音が鳴った。最初は無視していたけれどあまりにもしつこいので渋々出る。

「…………はい、刀也です」

「あっ、おはようございます剣持さん。わたくし美兎です」

「はい知ってます…こんなにしつこく電話かけるの貴女しかいないですよ、もう…」

委員長の良い意味でのうるさい声で頭が覚醒していく。

「剣持さん、学校ですよ!月曜日です!素晴らしい1週間がまたやってきました」

「委員長それ本気で言ってます?今絶対笑ってないですよね」

「う、うるさいですよ。とにかく早く学校に来てくださいね、今日は学園祭の前夜祭なんですし!」

そう言うと委員長はブツリと電話を切る。相変わらず言い逃げのような電話だなぁ、と思って笑ってしまう。

「しょーがない、行きますかぁ…」

***

今日は学園祭の前夜祭!入学して初めての学園祭だし前夜祭も初めてだから楽しみだなぁ…

「ひまちゃんおはよう」

「にいやん!おはござ!!」

昇降口で保健の先生のにいやんと会う。

「ひまちゃん、幼馴染みといえど学校では叶先生とお呼びなさい」

「あっ、うっかりしてた!ごめんねにいy…叶先生」

えへへと笑うと苦笑気味に「よく出来ました」とにいやんが褒めてくれた。

「叶先生、ひまわりさんおはようございます」

後ろから3年の美兎先輩がひまの顔をひょこっと覗くように挨拶をしてきた。

「委員長おはござ〜〜!」

「おはよう、月ノさん。剣持くんはまだ来ないのかい?」

「いえ、もうすぐ来ると思いますよ。ボイコットしないように画面通話で生中継してもらったので」

「うわぁ抜かりないねぇw」

んふふふふとちょっと不気味に笑う委員長は突然驚いたようにビクッと身体を竦ませた。

「委員長?どうかし…」

ついには屈んでしまった委員長の背中に触れようとした時、今まで感じたことの無いほどの恐怖が全身に駆け巡った。

「…っ!!?」

にいやんも同じく恐怖を感じたようで、びっくりしてフリーズしてる。何が起こったのか分からないまま、にいやんと顔を見合わせていると不意に委員長がスッ…っと音もなく立ち上がった。

「お2人はここにいてください。わたくしは外の様子を見てきます」

そう言い残して委員長は外へと飛び出してしまった、