少し先のほうで花火をしている三人組を見て、わたしはゆっくりと立ち上がった。


きぃくんを、捜さなければ・・・。

こんなところで、こんなふうに、サヨナラしてる場合じゃない。

・・・このまま離れてなんてあげない。


単なるわたしのわがままかもしれないし、彼に頼って来た自分の都合かもしれないし、彼に引っ張られてきた依存かもしれない。

なんでもよかった。


わたしは、きぃくんに会いたい。


「・・・おはよ、おやすみ・・・って」

「絵が・・・かわいいね、って」

「りんって・・・よんで、くれる、」


わたしときぃくんが一緒に過ごして来た時間は、まだ一年にも満たない、すごく短い時間。

だけどわたしの決められた人生の中で、この数ヶ月はとても長い。

そして何より、深いもの。


彼はわたしだけじゃなく、妃菜のことだって助けてくれていた。

蒼くんも、昂くんも、みんなそう。


誰かが居なくなったら、あの幸せは成立しないんだから。

あたたかい空間は、つくられないんだから。


だから・・・


勝手にいなくなるなんて、絶対にやめてほしいの。

わたしはまだ、あなたに伝えられていないことがたくさんあるの。


動きにくい身体をズルズルと引っ張りながら、気合と根性で足を運び、滲む視界の中、来た道を引き返した。