「里子、いる?」

俺に里子と呼ばれた女は寝起きが超絶可愛いいのだ。

朝の6時に俺に起こされた里子はスマホの向こうでムニャムニャこぼした。

「今から迎えに行く。」

返事も当然モニョモニョだった。

それがまた実に可愛い。

都内に近い森林公園へ早朝ドライブだ。

里子んちの玄関で俺はこう言った。

「パジャマのままでいいよ。」

「馬鹿言わないで。風邪ひいちゃう。」

と答えたが表情はまだ眠そうだ。

ジーンズとフリースに着替えた里子を助手席に乗せて出発した。

現地はまだひんやりとした冷気と朝靄がうっすら残っていた。

俺はハッチバックからキャンプ用のチェアを2客出し

車のボディの横に広げて里子を座らせた。

勿論防寒対策として膝にはウール地のケットをかけてあげる。

「コーヒーとビスケットを持ってきた。」

出がけに熱々のコーヒーをポットに入れ

昨夜焼き上げておいた分厚いビスケットを紙袋ごと手渡した。

ぴったりと隣り合わせに並んで座り

二人で朝のひと時を過ごす。

「どう?目は覚めた?」

里子はふぅッと湯気の立つボトルからもう数口飲んで

ザクッとビスケットを頬張った。

「うん、美味しい。バターの味がする。」

モグモグ食べる里子はまだ少し眠気のある眼差しで俺に笑みを向けた。

これにはさすがの俺でもクラッときた。

「里子の寝起きってマジでいい。」

ほんのり赤みが差してきた里子の柔らかい頬にチュッとキスをしたら

クスクスとくすぐったいような声を出した。

これが聞けただけで俺にとっては最高の朝になる。

コーヒーとビスケットだけの軽い朝食タイムを楽しんで

再び里子を家まで送った。

その後は恐らく二度寝するであろう里子の二度目の寝起きが見られず

俺はかなり残念に思った。