「ちー兄!夕飯出来たよ!」



「あぁ、美里。もう直ぐ行くから」



「また設計?」



「んー?うん。もうすぐ完成」



そう言って、『ちー兄』こと、古屋千秋(フルヤチアキ)は私、柳美里(ヤナギミサト)の顔を一瞥して、直ぐに白い設計図へと向き直った。


木造の小屋。


その隣に少し大きめの一戸建ての日本家屋があるのにも関わらず古屋千秋はその小屋に入り浸っては船の設計に集中している。


人は変人だと指差し笑う。


それでも私は、夢に向かっている古屋千秋の背中を見ているのが、何よりも好きだった。


古屋千秋と私はお隣さんで、いわば幼なじみ。細見で、それでも人並み程度の筋肉はあった。


特別キレイと言うわけではないが、整った顔立ち。