「傷つくから読み返さないし、読み進めても結末は変わらない」
『だから栞はいらないの?』
「必要ないよ。 そんな“もしも”の話、考えたって意味ないからね」
『・・・!』
「染谷さんは・・・すっかりここに染まってるよね。 君がRoseliaの特攻隊長だって聞いて、僕・・・最初は耳を疑ったよ」
『ハルカくん・・・?』
「あんなに正義感が強くて善人の君が、どうしてこんなところに、って」
ハルカくんが私の手を強く握り返す。
縋るように掴まれて、痛みが走った。
でも今、辛くて悲しくて叫び出しそうなほどの痛みに耐えてるのは、他ならぬハルカくんだ。
だから私は、ハルカくんの目を見つめた。
どんな言葉も痛みも、全て受け止める。
それが絶望の底から這い上がろうとしてるハルカくんに私ができる、唯一のことだった。
「僕は戦闘要員じゃない。 ここにいるのはRoseliaの力が必要だから」
言葉通り、目的を語るようなハルカくんの声色に温かみとは別のものを感じた。
譲れない、信念。
なにを犠牲にしても叶えたい願い。
そんな想いが伝わってくる。
