「姉さんも興味持ちそう」
ハルカくんは写メを取ったり、手に持ってジーッと観察したりしてた。
パンプキンキッシュ相手に目の輝きがいっそう増してるよ・・・。
『お待たせ。 熱いから気をつけてね』
お盆にのせた取り皿、フォーク、角砂糖、カップをテーブルに並べる。
「いただきます」
『どうぞ』
フォークを手に取ったハルカくんは、パンプキンキッシュへと手を伸ばす。
取り皿に切り分け、一口食べると・・・。
「うわ・・・!」
『ど、どう?』
「カボチャ濃いね。 甘くて苦味がないよ」
『ほんと?』
「うん・・・美味しい。 こんなカボチャがあるんだ・・・」
かなり衝撃を受けてる。
喜んでもらえたみたいでよかった。
でも紅茶のチョイスは失敗したな。
このパンプキンキッシュには、甘さ控えめのダージリンの方が合うかも・・・。
「これが高級品か・・・。 ゆっくりじっくり味わうよ」
『え・・・』
「こんな値の張るもの、ガツガツ食うわけにはいかないじゃん」
『そう・・・?』
大切に食べないともったいないとパンプキンキッシュを頬張るハルカくん。
「贅沢は敵だけど・・・たまにはこういうのもいいかもね」
『うん』
「カボチャの苦手意識薄れたよ」
『そっか』
コーヒー飲めないお子ちゃま舌だもんね・・。
苦いものや辛いもの全般ダメだし。
なんかこの貴重な時間・・・幸せだなぁ・・・。
フッ・・・。
私が微笑めばハルカくんも微笑む。
しばらくお互い微笑んだまま目をそらさなかった。
