「んー、考えたら会いたくなってきちゃった」
「はいはい」
ザワザワ・・・。
玄関の方から人の話し声が聞こえてきた。
「へぇ、ここがヒロ君の家なんだ?」
「出待ちも過度な付きまといも厳禁。 マナー守ってる他の子にも迷惑」
「いいじゃん、別に。 私とヒロ君の仲でしょ〜?」
え・・・・。 ヒロトさん?
もう帰ってきたのか。
昨日は五十嵐の家に泊まるってメールが来てたけど・・・。
「ねーったら! カノが応援しに来てあげたんだから、無視しないでよー」
「帰って」
朝帰りな上に、女の人と一緒・・・!?
こんなことは今までなかった。
それだけに、動揺を隠せない。
シュウさんは女遊びに拍車がかかり、取っかえ引っ変え女の子を家に連れ込むようになった。
裏社会から身を引いたルナさんも、また中国マフィアの抗争に口を挟んで手を出すようになるし。
シンさんは相も変わらず喧嘩三昧だわ。
ユウタさんは仕事人間。
僕は・・・うん、特に変化はなし。
ってか、何で急におろおろしてんのこの人。
一度深呼吸して、落ち着きなよ・・・!
ちょっと緊張してるユウタさんの腕を掴んで、そのままずるずると引きずるようにして、僕は玄関に向かった。
「あ、兄貴・・・」
「ん? ユウタ?」
「ユウタ先輩ね。 カノンちゃんはーー」
「ちゃんと休めてるー? こないだのドラマきゅんきゅんしちゃった〜」
「はいはい。 こっから先は女人禁制だ。 ユリなら大歓迎だけどアンタはお呼びじゃない」
ヒロトさんはユウタさんに接する時みたいに、相手の女の子に対しても冷たい。
照れ隠し・・・?
うーん、でも素のような気もする・・・。
