『みんなは関係ない。アイジさんの息子に手を出さないで!』


『なら、泥棒虎の息子を殺さない代わりにアジトに一人で来い』


「・・・・!」


『お前をRoseliaの仲間に加えてやる』


は?


『西郷兄弟には聞かれても話すな。お前から別れを告げろ』


『何を言ってるの?』


『間接的に連絡を取ることも禁止する。 Roseliaの裏をかこうと思っても無駄だ』


束縛の激しい男は嫌われますよ?


『西郷兄弟の近くに駒を潜ませてる。 不審な行動が発覚すればすぐに始末する』


兄さんは一方的に要求を並べる。

何を考えてるの・・・?

つまり、私が仲間になればみんなを殺さないということだ。

私をおびきよせるために、それだけのためにみんなを殺す?

これまで蜃鬼楼がターゲットにしてきたのは、過去になんらかの罪を犯した者たちだ。

ここで無関係のみんなを切り捨てたら、そのポリシーに反することになる。

だからと言って、正義の旗を掲げる蜃鬼楼がテロ組織に肩入れするつもりは微塵もない。


『私は私の正義を貫くよ』


『そうか』


短い返事が返ってきた。


『なら、西郷兄弟は今すぐ殺す。 お前が手に入らないなら用はない』


『待って』


今にも話を打ち切られそうな雰囲気を察し、私は混乱しながらもメッセージを打ち込む。

もし、本当にみんなが殺されたら?

おそらくRoseliaは今、関東制覇を目指して勢力を伸ばしている。

なりふり構わなくなっていたら、多少の犠牲もやむを得ないかもしれない。