まさかの兄さん登場で乱闘騒ぎが勃発した所為で、私達は閉店を余儀なくされた。

・・・てか・・・警察沙汰になった。

大袈裟に傷の手当てをされるわ。

聴取に立ち会うことになるわ。

ようやく解放されたのは夕方。

太陽が沈み始める時間だった。


「うーん・・・これからどうしようか」


『ヒトリニサセテクレマセンカネ・・・』


言われて時計を見てみれば、時間は17時に差し掛かるところ。

媚薬の効果は薄れる気配もなく、目尻は興奮のために赤く色付いたままだ。


「媚薬だっけ? 身体辛くない?」


「敏感になってるから触んない方がいーよ」


「それなッ」


カノンとシュウさんの言葉に先輩が大きくうなずきながら、膝をバンバンと叩く。


「ん・・・美味しく頂いちゃいますかぁ?」


「ルナってば破廉恥♪」


「ここは公平にじゃんけんで決めようぜ」


「コイツの気持ちは無視かよ!」


ルナさんは頂く要求するし、リサはやっちゃいなよと背中を押すし、シュウさんは運任せノリ任せって一か八かの賭けを持ちかけるし・・・。

兄弟の中でも常識人の部類に入るシンさんがなんでやねん!とツッコミ。


「ユリ、愛されてるねぇ〜」


「俺(僕)を選べよ」


みんな声を揃えて手を差し出してくる。

兄さんが、西郷兄弟がこの店に来るのは私を奪還するためって言ってたけど・・・本当みたいだね。 みんなを見てるとそう思う。


「俺を選んだ方が安全だと思うよ」


「安全? 危険の間違いだろ?」


バチバチと火花を散らして睨み合い、お互いに譲らない攻防戦を始める白猫と豹。