「オラッ!! お前ら仕事に戻れ。 他のハイエナ共はとっとと出てけ」
急にお店の扉がガラーーッと開かれ、鬼の形相をした兄さんが入ってきた。
げ・・・今までの比じゃないよ?
おろしたて特攻服は新品のはずなのに、今日の暴走のせいですっかり熟練の面持ちだ。
顔のピアスが印象的。
「アンリ、テメエ・・・」
突然の声に西郷兄弟がいきり立つ。
「おー威勢がいいな? お前ら、あの男の息子なんだって?」
「だったらどうした?」
・・・戦乱時代ですか?
兄さんは一瞬だけニヤッと不敵な笑みを浮かべ、
「そう。 悪いな、殺しちまって?」
にっこり笑いながら、血に染った手で私の髪を鷲掴みにした。
「ユリッ」
「ユリさんッ」
「染谷さんッ」
西郷兄弟の焦る声が聞こえた。
「浮気に何年も目を瞑ってやった彼氏に、なんかコメントねーの? ユリ」
兄さんは優しい口調で話すけど、それとは反対に私の身体は無意識にガタガタと小刻みに震えだした。
髪を引き抜かんばかりの勢いで引っ張られ、声にならない痛みに泣いちゃいそう。
周囲からは悲鳴が上がり、店内は逃げ惑う人達で溢れ返っていた。
逃げ足早いね?
「あ、あ、許して! 西郷兄弟に会ったのは偶然なの! 今はアンリだけ・・・。 私は・・・アンリのもの、家畜・・・だよ!!」
何度も噛みながら、叫ぶように兄さんに告げる。
「じゃ、死んでくれよ。 この前はそこの6男に邪魔されたからな? 仕切り直しな?」
死刑宣告と同時に飛んできた拳。
