「首の痣どうした・・・」
あれ? この重い低音ボイスは・・・。
そう思ったとたんに手が近づき・・・強くマフラーを引っ張られた。
「あの男に性的虐待受けてるだろ」
シンさんの指が、頭を撫でる。
こつん、と額が触れ合った。
急な接近に驚いて心臓が跳ねたけど、シンさんの哀しそうな瞳に胸が突かれて、なにも言えない。
「分かんだよ、 その怯えた目を見れば・・・バカでも違和感に気づく。 俺も似たような境遇で育ったからな」
・・・人を意外と観察してるのか、すぐに見破られてしまう。
『そうだよ・・・幼い頃から兄さんに、性的虐待を受けてる』
本当は、泣きたい。 叫びたい。
どうして私だけがこんな酷い仕打ちをされるんだとわがままを言いたい。
でも、そんなことしても、何も変わらない。
「攫ってやろうか。 家政婦を勝手に解雇したら地獄にいる親父に恨まれそうだし」
困ったようなシンさんの笑みに、私もつられて苦笑する。
実際にそんなことができないのは、シンさんもきっと分かってるんだ。
仮に脱獄したとして、その後は・・・?
何日も寝る間も惜しんで考えたけど、何も解決策が思いつかない。
ほら、手詰まりじゃんか。
『シンさんは優しいね。 それに面倒見がよくて見て見ぬフリが出来ない性質らしい』
笑顔で言い切ると、シンさんはパッと首元から手を離すと腕で顔を隠した。
『あ、もしかして照れてる? シン先輩、可愛ーね♪』
私はついにやにやしてシンさんを見た。
耳が赤いのを見ると本当に照れてるみたいだ。
