「あ、でも勘違いしないでよ。姉さんのために復讐を果たすわけじゃないから」
『え・・・?』
「姉さんのサインを見逃した自分が許せなくて、そんな自分を認めるのが怖くて、復讐に逃げてるだけの臆病者なんだ」
『ハルカくん・・・』
「自分のために他人を殺す僕に、償いの道なんて残されてない」
グッと唇を噛み締めて、顔を歪ませるハルカくん。
あー・・・そうか。
この人はただ単純に“哀しみ”を消し去りたいだけなんだ。
そのために、この人は兄さんの理想を知りながらその手助けをしようとしてる。
その濁った目は、正しさを見失って自分がどこに行けばいいのか分からないから、か。
「Roseliaによって奪われる命がある。 この復讐は遠い未来のためになる。 ・・・そう信じてるから・・・」
ハルカくんは、Roseliaに恩がある。
だからこうして協力してるし、今さら普通の生活に戻れるとも思ってない。
でも・・・Roseliaのやろうとしていることが間違ってることは確かだ。
ここに来て3ヶ月ほどしかならないけど、ハルカくんは1人でいることが多い。
個人的な関係は持たないようにしてるみたい。
Roseliaが求めてるのはハルカくんのIT関係の技術だから、仕事さえこなせば何も言われないらしいよ。
私と同じ。
諸事情があって、意図的に交流を避けてる。
ここにいるのは自分の意思。 だよね?
