「は〜い☆翼せんせーの国語の授業ですよッ♪」
さっきとまったく同じフレーズで何事もなかったかのように振る舞う翼。
『何勝手にTake2始めちゃってるんですかコノヤロー。今のくだり全部無駄になっちゃったじゃん』
「気にすんな!ほら、教科書38ページ開くっ!!」
2人に教科書を押しつけ、早くしろと促す。
「都合悪くなったからって強制進行してんじゃねぇよ」
「うるさーいっ!私語は減点だぞーッ!」
翼は出席簿らしきものに、ペンを走らせるようなポーズを取った。
『くっ…』
「黙るんだ!?姫、従うんだ!?偉いな!!」
「あー、仁喋ったぁ〜。今日の晩飯のおかずの唐揚げ、1個没収な♪」
「はあっ!?」
文句を言いつつも黙る仁。
唐揚げ、大好物なのだ。
翼は教科書に目を落とすと、範囲を確認した。
「範囲は…出たぁ!夏目漱石じゃん。しかも【夢十夜】の第三夜とか…今お前らのクラス、神やんなんだろ?チョイス微妙!さすが教育実習3年目」
姫香たちのクラスの国語担当が産休に入ったため、神山が担当している。
ちなみに。神山についてはMission3参照です。
「んじゃ、サクッと終わらせるぞっ☆」
ホワイトボードにスラスラと文字を書き並べると、説明を始めた。


