今日は彼と私の最後の夜になった。

「亜実、すまない、俺はお前を一生守る、離婚もしないと約束したのに、こんな結果になった」

「私の行動の不注意が原因なので柊さんは悪くないですよ」

「亜実は悪くない、俺に、どんなことをしても亜実を守る力が有れば、本当にすまない」

「もう柊さんに会えないんですか」

「そんなことはない、なんとかする、亜実、俺の側にこい」

私は彼に引き寄せられて、唇を重ねた。
もう彼に会えない、一緒に暮らせない、涙が溢れてきた。

「亜実?大丈夫か?」

彼は私を抱き上げ、ベッドルームへと運んだ。
お互いにわかっていた、これを最後にしばらく愛を確かめることは出来ない、ゆえに気持ちが燃え上がった。

彼は思う、自分の気持ちを言葉にしたために愛する人が離れてしまう結果になったと・・・

私は思う、彼との出会いはまぼろしで、彼とは結ばれない運命だと・・・

彼は若いイケメン御曹司、私はなんの取り柄もないアラフォー女子、社長夫人が勤まるわけがない
彼は私と別れた後若い釣り合いが取れる女性と結婚するだろう、そして後継者を残す。

そんなことを考えていると、胸が張り裂けそうになった。