君の青空

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マネージャーをやろうと思ったのはずっと前の甲子園を見たとき。

いつだったかははっきり覚えていない。

「結衣おはよ」

葵星くんは教室に入ってすぐ声をかけてくれる。

今日から本格的に部活だからカバンは野球カバンで肩から下げていた。

「葵星課題見してー!あ、結衣ちゃんおはよ」

いつも通りのテンションで宝田くんもこっちに来る。

「おはよー」

「あー悪い俺課題やってねえわ、」

「おいまじかよ!結衣ちゃんやってない?」

「あ、数学だよね、あるよ」

「まーじないす」

宝田くんはニコニコ笑っている。

本当にいつも楽しそうだ。

カバンの中からノートを取り出して手渡す。

「あああありがとう感謝感激雨嵐」

「俺も見たい」

葵星くんもノートを覗き込む。

「俺の方が字綺麗だわ」

「やーうるさいっ」

「ごめんて」

宝田くんが字綺麗なのは意外だった。

失礼だけど、指の長さとか、フォルムとかは全体的に丸っこい。

「おっはよお」

響大くんが葵星くんと宝田くんの間に入ってくる。

「うるせえよ」

また楽しそうに宝田くんが声をかける。

宝田くんが笑うと私まで楽しくなるから不思議だ。

「ほーだいる?」

隣のクラスの坊主頭。

「ん!なしたまっつん」

まっつん、と呼ばれた彼は高身長なのに猫背気味でタレ目の人だ。

カバンは葵星くんと同じだから元同じチームだと思う。

「今日の放課後さ」