「岩根詩織です、よろしくお願いします」

入学式が終わってすぐに自己紹介をすることになって、出席番号が早い詩織が最初だった。

明るくて可愛い詩織が私の憧れで。


「テニス部に入る予定です」


髪が揺れる笑い方も全部可愛い。


「えと……っ」


あっという間に私の番。


「登坂結衣です」


人見知りな私はあまり上手く喋ることが出来なかった。


「部活、は、野球部のマネージャーやりたいなって、思ってます……」


恥ずかしくて下向いてしまった。

でも言えた。


「まじ!」


私の斜め後ろから声がした。


「俺野球部入る予定だよ!」


その声の主は坊主で、野球部だとは分かるけれど驚くくらい肌が白かった。


「藤島葵星、あおせって呼んでよ」

「葵星口説くなって」

「あ、悪ぃ、後で話そ」


葵星くんはクラスなんてお構い無しに話していた。

歯を見せて笑った葵星くんはイケメンで。

コクコクとしか頷くことが出来なかった。


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「結衣ちゃん」

10分休みになった途端、葵星くんが話しかけに来てくれた。


「よろしくね」

「俺も野球部、神崎叶人|《かんざき かなと》」

「佐和田響大|《さわだ きょうた》」

「宝田藍夢|《ほうだ あいむ》だよ、このクラスは多分4人だね」


こんなに一気に来ても、と焦る。

叶人くんはいかにも野球!って感じ。

ちょっと小太りで葵星くんとは比べ物にならないくらい、日焼けしている。


響大くんは目が大きくてにこにこしていて、多分明るい人だ。

宝田くんは足が短くて(は)

だから多分キャッチャーだ。


「ほーだ、今日から見学?」

「明日から」

「じゃあ俺らもだな」

「とりま結衣、LINE交換しよ」

「野球部グル招待する」


一気に喋んないで、と戸惑ってしまった。

それを見越したのか葵星くんは八重歯を見せて笑っていた。


「野球部紹介してやんよ」

「俺も行く〜」


響大くんが私たちの後に続く。

「チャイム鳴るよ?」


叶人くんが時計を見た。


「放課後だな」

「ん、じゃ、待ってて」


宝田くんが私に言った。

なにこれ、


めっちゃマネージャーっぽい!