なんで……。

その正体に、慌てて両手を目元にあてれば、そっと目から涙が溢れていることに気づく。

なんで泣いてるの……?

拭っても拭っても、涙は次々に零れてきて……。

なん、で……っ。

ほんとに、最近の私は自分でもよくわからない……。

大和先輩のことばかり考えて、いっつも胸が痛くて……。

『葵唯』

私の名前を呼ぶ大和先輩声と、体育祭でみた本当の笑顔が脳裏をよぎる。

大和先輩の真剣に怒った顔、笑った顔、意地悪な顔、あの複雑な顔……。

大和先輩のどんな表情にも、胸がキュウっと締め付けられる。






苦しいよ……大和先輩……──────────