男性は妖艶な笑みを浮かべ、私にキスを落として大きな手で私に触れる。

男性の仕事がない日はいつもこうだ。熱くなった体を重ねる。何度こんな夜を過ごしただろう。

ああ、また夜に溺れるんだ……。



監禁生活が始まる前、私は普通に働いていた。

「……ん……」

午前七時。目を覚ますと、すっかり見慣れた景色。私が借りている部屋だ。

私の名前はアナ・バージル。出稼ぎで四年前からこの国に働きに来ている。この国は給料が高いことで有名で、近隣諸国から私のように出稼ぎに来る人も少なくない。

ミディアムの茶色の髪をハーフアップにし、白いブラウスと緑のワンピースを着る。軽い朝ごはんを食べ、家を出た。

「おはようございます、グレンさん」

「おはよう、アナ」

近所の人に挨拶し、私は職場へと向かう。私が働いているのは服屋。多くの若い女性が訪れる人気のお店だ。

服屋に行くまでの道には、バーがたくさん立ち並ぶ場所を通る。朝まで飲み続けた人たちに絡まれることもあって厄介な通りだけど、ここを通らなければ職場に行けない。