いつも、ずっと。

「そうやろうと思う。明日美からしてみれば俺がぶっちぎったと思われても仕方なかよな。明日美から拒否られても文句は言えん。俺と別れた後、ずっと携帯の電源切っとったやろ?何度もかけてみたけど、繋がらんかったし」



運転中だからじっくりと明日美の顔を見ることはできない。

でも気になってチラチラと横目で様子を伺い見る。

明日美は俯いたりせず真っ直ぐに前を向いていた。



「そっか。充電切れるって、どがんタイミングやったとやろ。友也も意外とドジなところあっとね」



良かった。

とりあえず電話の件は分かってくれたようだ。

あとは、青柳さんとの契約のことや、田代先輩と青柳さんが結婚決めたことだよな。

瀬名と田代先輩の関係についてもか?

それはまあ、ついでというか後回しでいいか。



そして明日美が納得いくように説明してから、その後がまた一大事。



告白の続き、最初からやり直さないと。



長崎駅から自宅までは車で約四十分。

早く、早く帰りたい。

俺と明日美が住むMアパートに早く。



それにしても今日の明日美は軽装だな。

出張帰りにしては荷物が少ない気がする。

気のせいか?




Mアパートに到着したのは、夕方五時の鐘が鳴る少し前だった。



「明日美、できれば今日のうちに生田家にお邪魔したかと思っとるけど。その前に俺ん家で二人で話そう」



車を降りる前に簡潔に明日美に告げる。

もしかしたら明日美はまず自分の家に帰ろうとするかも知れないから。



「えっ、私一度お母さんに帰ったことを知らせないと……」



ほらな、そう来ると思った。

ここは先手必勝、まだ明日美を家に帰すつもりはない。

生田家には俺も一緒に行くと決めているから。



「ダメだ。悪かけどそいは後回し。俺のために時間作ってくれるって約束したろ?」



ちょっと強引だった感が否めないけど。



「……分かった。じゃあ、ちょっと待って」



携帯を開いてメールでもしているのか。

多分相手はおばちゃんだろう。

帰りはちょっと遅くなる、とかかな。



これでドアの前まで来て鉢合わせでもしたら、まずいよな。

こっそり俺の家に明日美を連れ込もうとしてるなんて、どう考えてもまずい。



しかし、そんな心配は必要ないくらいにあっさりと生田家のドアの前をやり過ごし、御子柴家に明日美を誘い込むことに成功した。