いつも、ずっと。

「ふうん……。あ、おばちゃんとおじちゃんにお土産買ってくるつもりやったとに忘れとった!」



「お土産?別にそがんと気にせんでよかとに。明日美が無事に帰ってきたとがなによりの土産さ。けど、何ば買ってくるつもりやったと」 



会話の流れでただ何となく聞いただけだけど。

俺からの質問が想定外だったのか、ちょっと狼狽えた様子の明日美。



「そっ、それは……。やっぱりほら、アレやろ。"九十九島せんぺい"とか」



もうバラしてもいいよな。

あくまで佐世保に行ってたことにするつもりなら、俺から切り出してやる。



「俺は"九十九島せんぺい"よりも"めんべい"のほうが好きけど」



「えっ?な、なんで…………。もしかして知っとったと友也。佐世保じゃなくて福岡やったって」



ああ勿論だ。

宿泊学習の下見に行ってたあの夜、母ちゃんからの電話で佐世保出張だと聞いたこと。

その後かかってきた瀬名からの電話で、佐世保ではなく福岡出張だと聞いたこと。

全部話して聞かせた。



「それじゃ、駅で別れた時にはもう分かっとったとね。福岡に行ったってこと」



「明日美から聞きたかったけどな、本当は」



「言うつもりやったとけどね……。電話した時に」



電話って、もしかしてあの時のか。



「明日美さ、俺が日吉に行った日の夜に電話くれたとやろ。電話に出られんで悪かったな。あん時は」



「なんで切ったと?私からの電話って分かっとって切ったとやろ。おばちゃんや瀬名くんからの電話には出て、私からの電話にはなんで出てくれんかったと?」



ああやっぱり誤解させてしまってる。

気付いたのが明日美と別れた後だったとはいえ、充電切れを招いたのは俺の失態。

そのせいで更に明日美を傷つけてしまった。



「その事に関しては完全に俺が悪かったと思っとる。本当にごめん。実はあん時、母ちゃんと瀬名から立て続けに電話かかってきてさ。その後すぐ風呂に行って、戻ったら電池切れやった。充電器ば持って行っとらんかったけん充電切れたまま、明日美ば駅まで送った。明日美からの着信に気付いたとは、家に帰って充電器に繋いだとき」



なんか……言い訳がましいな。

しかしこれが隠しようのない事実。

こんな説明しかできない自分が歯痒い……。



「充電切れって。じゃあ私が呼び出し音ば鳴らしよるうちに切れたってこと?」