いつも、ずっと。

「明日美…………好きだ」



しっかりと目を合わせたまま、はっきりと告げた。



「友也………………」



明日美は目を見開き、驚いている。

だけどまだ終わった訳じゃない。

一世一代の告白はこれからが本番だからな。

頬を真っ赤に染め、潤んだ目でじーっと俺を見つめる明日美に、更に言葉を紡ぐ。



「一目惚れだったんだ。最初からずっと好きだった……。だから明日美、俺と」



まだ途中なのに。

途切れた言葉の訳は、俺の口が塞がれてしまったから。

明日美の唇……ではなく、手のひらによって。



「待って友也、それ以上はダメ」



なんで?

言わせてくれないのか明日美。



「こがん場所で、いつまでこがんしとると」



俺の口を覆っていた手をはがし、体を起こしてくれようとしてる。

俺も自分で起きあがろうとするけど、背中に激痛が走り思うように体を動かせない。



「痛ててててててつ」



「だっ、大丈夫!?ちょっ、誰か……。あっそうだ、瀬名くん!瀬名くんいるっ?」


階段を駆け降りてくる足音が聞こえる。


「あーあーあー。まったく想定外すぎ」


離れたところから見ていたのか、瀬名。


「御子柴お前、病院行け。背中ヤバくね?……ってか、車の運転はできそうか」



体を起こすのに手を貸してくれた瀬名。

心配してくれてるのか。



「まあ、痛かっちゃ痛かけど。病院は行かんでも……。運転は座席に背中ばくっつけんごとすれば大丈夫やろ」



今日は土曜日だし。

病院は午後から休みじゃないか。



「休日当番医ば調べてみるけん。もし友也になんかあったら私のせいやけん、ちゃんと診てもらおう。あっそうやった……ごめん瀬名くん…………」



明日美が大事そうに抱えていた紙袋が、ちょっと折れ曲がってしまっている。

俺が明日美を力強く抱き締めたから、押し潰されてしまったんだろう。

大体なんで瀬名が明日美にプレゼントなんて。



「しょんなかな。アイツは話せば分かってくれるやろうけんよか。生田、それやっぱり俺が自分で渡す。ってことで」



瀬名が明日美の手から紙袋を取り上げた。

明日美に買ってやったんじゃ……。



「邪魔者は消えるけん、あとは二人きりでお好きなようにどうぞ」



歩道橋の階段を上っていく瀬名の後ろ姿を見送る。

明日美も何も言わず、一緒に見送っていた。