いつも、ずっと。

「明日美!この肉じゃが最高にうまか!グラタンも唐揚げも好物やけんめっちゃ嬉しか。ありがとうな」

「ホント?良かった!でもまだまだ修行せんばって思うけん、もっといろんな料理ば作れるごと頑張る。ちょっとずつでもステップアップしていかんばねー」

もっと料理のレパートリーを増やしたいと思ってるんだな。

それって俺のためだと思っていいんだよな?

しかし修行と聞いたおじちゃんが騒ぎだした。

「おい友也、まだまだ明日美は嫁にやらんけんな!」

はいはい。

ちゃんと分かってるよ。

俺もまだ修行中だから、時が来たらちゃんと許しをもらいに行きますよ。

「はい友也、誕生日おめでとう」

明日美が注いでくれたビールを飲む。

俺だけ飲んでもつまらないから、明日美にも注いでやった。

「この苦かビールば『美味しか』って思える日の来っとかな?私はまだ大人になりきれとらんとかもしれん。友也は『美味しか』って思うて飲みよっと?」

「大学のダチがみんな美味そうに飲むけん俺もそうなるかと思ったけどなぁ。正直言うて、そがん美味かと思えんばい。慣れるしかなかとかな」

初めての飲酒だけど感動はない。




飲み会が始まってどのくらい経ったのだろうか……。

俺はいつの間にか眠っていたらしい。

「友也、ねえ友也。どうしたと、具合悪うなった?おばちゃん!友也が……」

ビール飲みすぎたか?

明日美の声がやたらと頭に響いてクラクラする。

「……そがん大声で言わんちゃよかって。ちょっと頭のガンガンするけん、ここで寝とく」

おやすみ、明日美……。

「だめって!こがんとこで寝たら風邪引くばい。自分の部屋に帰って寝らんね。おばちゃん~私友也ば部屋に連れて帰るけん」

ああもう、やかましいな。

しばらくここで寝かせてくれよ。

少ししたらまた復活するから。

せっかくの俺の誕生日、まだ帰りたくない。

「ほら友也、起きてってば!ここで寝てしもうたら後からキツかばい。早よう帰ろうで。ちゃんと自分の布団で寝らんば」

「布団……?明日美の布団がよか。明日美ん部屋で……」

寝たい。

「なっ、なんば言いよっと友也!もうこいやけん酔っぱらいは困る。はい、立って!自分の足で歩かんば私抱えきらんけんね!おばちゃん、鍵は開いとる?」

「開いとるよー。ごめんね明日美ちゃん。うちの息子をよろしくね」