いつも、ずっと。

そして待ちに待った週末。

明日美と二人、スーパーマーケットへ食材を買い出しに行った。

俺がリクエストしたのは、肉じゃがと唐揚げとグラタン。

明日美が必要なものをメモしてたからそれを見ながら買うものをどんどんカゴの中に入れていく。

スーパーで買い物なんてあまりすることがないから、カートを押すのが楽しくてついはしゃいでしまう俺。

まだまだ大人とは言えないよな。

しかしこんなに楽しくてたまらないのは明日美と一緒だから。

つかの間の新婚気分を味わったっていいよな?

明日美だってすましてるけど、さっきニヤニヤしてたの知ってるんだからな。

結婚したらこんな風に休日に二人で買い物するんだろう。

なんだか予行練習してるみたいな気分になってきた。

「ああそして食事ば明日美が作るとならって、うちの母ちゃんがケーキは任せろって言いよったぞ」

さすがにケーキまで手作りって訳にはいかないだろう。

それに手作りのガトーショコラならついこないだ食べさせてもらったばかりだ。

あの時はショコラを味わったのか明日美を味わったのか分からなくなってしまったけど。

濃密なキスの余韻が甦る。

本当なら明日美の手料理を食べるのも新婚気分を味わうために二人きりだったら良かったけど。

そうしたら勘違いして取り返しがつかなくなってしまう可能性がある。

これでも理性を保つのに苦労しているんだ。

もし夜の密室で明日美と二人きりでいたら、間違いを起こさないなんていう自信は……ない。

間違いを犯してみようかなんて考えてしまった事がなかった訳でもないけど……。

だけど俺は、明日美にはまだ身も心も清らかなままでいて欲しい。

成人になり、世間では大人だと認識されるようになるとはいえ、学生の身である俺はまだまだ半人前だ。

今の時点では明日美にも自分にも責任を持つことができない。

社会人になり、自分の行動に責任を持てるようになって初めて、明日美をしっかり守ることができる。

これは神様が俺に与えた試練なのだ。

俺はこの試練を乗り越えてみせる。

「うわー!明日美すごかなぁ。俺が食べたかって言うたとみんな作ってくれたと?料理すっと大変かったやろ」

俺がリクエストしたメニューだけでなく、サラダや味噌汁まで作ってくれてる。

花嫁修業は順調に進んでるな、明日美。