暁と接していると、娘が成長していたらこんな風に過ごしていたのだろうかとつい考えてしまう。
共に食事をし、共に風呂に入り、共に下らない話をして共に眠る――そんな日常が天満にとって小さな幸せの積み重ねとなる。
暁はお洒落が好きなため、柚葉から小物を作ってもらったり、朔にねだって買ってもらったり、部屋には沢山の華やかな色の小物などがある。
明るい色が多いため派手な色が好きなのかと思っていたが、鬼陸奥に着いて雛菊の遺品を譲ってから暇を見ては鏡台の前に座って引き出しの中を覗いていた。
「暁はどっちかっていうと朔兄似だけど芙蓉さんの要素も多くあるから顔が本当にきれいだもんね。地味な色の小物は好きじゃないって思ってた」
「そんなことないよっ、天ちゃんのお嫁さんの小物とっても可愛い。天ちゃん、お家に持って帰らないの?」
「え?そうだなあ…その方がいいのかな」
「だってそうしたらいつでもこの可愛い小物見れるし。そうしようよ」
暁にねだられた天満は、確かにずっとここに置いていても気付かないうちに劣化していたら…と思い、頷いた。
「そうだね、壊れたら柚葉さんが直してくれるだろうし、そうしようかな」
「やった!」
畑の整備や家の掃除、そして雛菊の実家を訪れていた天満は、雛菊が小さな頃着ていた着物や帯などを葛籠に入れると、庭で待っていた牛車の中に運び込んだ。
どうしても懐かしさに囚われてしまう天満をいつも現実に引き戻すのは、暁の小さな手。
「天ちゃん、寒くなってきちゃった」
「戻ってお風呂に入ろうか。風邪でも引いたら大変大変」
「大変大変!」
…半妖であっても身体は丈夫で風邪など天満自身も引いたことはない。
もちろん暁も同じだったが、にこにこして楽しそうにしている暁の手を引いて家に戻り、鬼陸奥の郷土料理を振舞って本当の親子のような時をふたりで過ごした。
共に食事をし、共に風呂に入り、共に下らない話をして共に眠る――そんな日常が天満にとって小さな幸せの積み重ねとなる。
暁はお洒落が好きなため、柚葉から小物を作ってもらったり、朔にねだって買ってもらったり、部屋には沢山の華やかな色の小物などがある。
明るい色が多いため派手な色が好きなのかと思っていたが、鬼陸奥に着いて雛菊の遺品を譲ってから暇を見ては鏡台の前に座って引き出しの中を覗いていた。
「暁はどっちかっていうと朔兄似だけど芙蓉さんの要素も多くあるから顔が本当にきれいだもんね。地味な色の小物は好きじゃないって思ってた」
「そんなことないよっ、天ちゃんのお嫁さんの小物とっても可愛い。天ちゃん、お家に持って帰らないの?」
「え?そうだなあ…その方がいいのかな」
「だってそうしたらいつでもこの可愛い小物見れるし。そうしようよ」
暁にねだられた天満は、確かにずっとここに置いていても気付かないうちに劣化していたら…と思い、頷いた。
「そうだね、壊れたら柚葉さんが直してくれるだろうし、そうしようかな」
「やった!」
畑の整備や家の掃除、そして雛菊の実家を訪れていた天満は、雛菊が小さな頃着ていた着物や帯などを葛籠に入れると、庭で待っていた牛車の中に運び込んだ。
どうしても懐かしさに囚われてしまう天満をいつも現実に引き戻すのは、暁の小さな手。
「天ちゃん、寒くなってきちゃった」
「戻ってお風呂に入ろうか。風邪でも引いたら大変大変」
「大変大変!」
…半妖であっても身体は丈夫で風邪など天満自身も引いたことはない。
もちろん暁も同じだったが、にこにこして楽しそうにしている暁の手を引いて家に戻り、鬼陸奥の郷土料理を振舞って本当の親子のような時をふたりで過ごした。

