「何してんの、音羽。おいてくよ」



ひとりで意気込んでいるわたしに不思議そうに声をかける翼くん。



「えー!おいてかないでください!」



ひどいよ!
めっちゃ楽しみにしてたのに迷子とかになったらどうするの!



そんなのやだよー!



「うん、それは嘘だけど」



「だっておいってたら本当に迷子になりそうだし」と続ける翼くんにジトッと視線を送る。



「大丈夫ですよー。わたしだってもう高1なんですから」



子供じゃないんだからね!



そう思って言うけれど、説得力がないみたい。



「でもなんか心配だし」