「引きましたよね…」 自分で聞いといて、返事が怖いよ。 ああ、あの頃の自分を崖から落としてやりたい! 「うん」 まさかの即答。 「ですよね…。ははっ…」 ダメージきついよ。 「でも、迷子の犬を助けてあげたり、弁当忘れたやつに分けてあげたりしてる音羽見てさ、めっちゃ感心した」 あ…。 誰にも見られてないって思ってたのに。 助けてるところを見られてるのって、どこか照れくさいし。 「そんな…、わたし、翼くんが褒めてくれるほどの人間じゃないんですよ?」