「……必死になっちゃって。わたしのときは、そんなになってくれたこと、一度もなかったのにね?」 そう悲しそうに呟く梨紗。 だから、もう会いたくなかったんだ。 もう、傷つけたくなかった。 梨紗には、俺のことなんか忘れて、幸せになってほしかったから。 そんな俺を見て、梨紗はあの頃のような優しい笑みを浮かべて、こう言った。 「……ごめんね、翼。音羽ちゃんにはなにもしないわよ」