何言ってるの?と、不思議そうな表情をする梨紗さんに翼くんは冷たい視線を送る。 「俺は…、梨紗とはもう付き合わない」 翼くん…。 「何言って!あのときのこと忘れちゃったの?!」 本当に悲しそうに、でもどこか圧のある言葉を投げかける梨紗さん。 すると、翼くんは唇を噛んでうつむいてしまった。 あのとき、なんて。 まるで、わたしの知らない過去。 「……梨紗」 心の奥底で、翼くんはなにかを我慢しているように見えた。