「……なんで?」

仕切り直してそう聞いてみる。

「めんどくせぇから」

彼はぷかぷかと白い息を吐きながら、言葉も吐き捨ててしまった。なんてことだ。



「由梨花(ゆりか)は」

「うん」

あいづちをうつと、先生は「やっぱやめた」なんて、ひどいことを言った。



「なんで!?」

同じ言葉なのに、さっきとはまったく違った気持ちだ。先生は、意味がわからない。



「答えに予想がついて、めんどくせぇと思った」

「……だから、“類沢(るいさわ)はくそ教師”って言われるんだよ」



煙草の軽い重みを指だけに預け、空を見上げた先生。先生でも傷心に浸るのかと、ちょっと罪悪感。