「夏乃ちゃんは、考えてる事が顔に出やすいよね? 今、俺は夏乃ちゃんで本当にいいんだろうかって考えてただろう?」

高峰さんに考えてたことを当てられるような一言を言われてびっくりする。

「えぇぇ!! そんなに顔に出てますか?!」

顔に手を当てつつ驚きの声を上げると、可笑しそうに笑って高峰さんはにこやかに告げた。

「うん、表情がコロコロ変わって面白いね。そして考えてることもよく出てる。ねぇ、俺がこの話受けたのは迷惑だった? そうじゃないなら親睦を深めてくれると嬉しい。俺は夏乃ちゃんが好きだからね」

その言葉に驚き固まる私に、高峰さんはクスッと笑うと聞いてきた。

「俺、結構分かりやすくアプローチしてるんだけど、分からないかな?」

小首を傾げて私を下から覗き見る高峰さんは少し、楽しそう。

「えっと、なんとなくとしか……。私、男の人と出かけるのも、こうして連絡取り合ったりするのも初めてで、正直戸惑ってます。どうしたらいいのか、全然分からなくって。アラサーなのに、ダメですね……」

恥ずかしくって、笑って誤魔化すように返事をすれば、高峰さんはキュッと口を引き結ぶと、私に真摯な眼差しを向けて言った。

「俺に誘われるのも、連絡されるのも戸惑ってるだけで嫌ではない?」

「嫌ではありません。経験値が無くってどう返せばいいか戸惑うことはあっても、嫌ではないです。高峰さんと一緒に過ごすのは緊張はあるけれど、会えると嬉しいなって思うことが多いんです」

そんな私の今の素直な気持ちを伝えると高峰さんは晴れたような笑みを浮かべると、ホッとしたように言った。

「じゃあ、俺には少しは望みが有りそうだなって自惚れてみようか。俺はメッセージをやり取りする度に、会える度に好きになってる。夏乃ちゃんに好きになってもらえるように頑張るよ。とりあえず態度も言葉もストレートに伝えた方が、良さそうだって分かって良かった」

そう呟くと、食後のコーヒーを美味しそうに飲んで一息ついた高峰さんはデザートのケーキを美味しそうに食べたのだった。

私は、またドギマギしてしまって、美味しいはずのデザートの味はさっぱり分からなくなっていた。