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「ねぇ、雅也」
「おう、どーした芽衣子」


トントントン

夕食の用意をしながら私は夫となった雅也に話しかける。


今日は珍しく早番だったので、夕食の準備をする余裕があった。



「あのね、今日店長に子供が出来たら退職するんでしょ、って聞かれたよ」
「うわ、直球過ぎんだろソレ」
「うん。だから私もまだ妊娠を考えてないから分からない、出来てから考えるって話しといたよ」
「だな。結婚したばっかだし、すぐ妊娠するかどうかわからんしな」
「だよねー」


雅也の言う通りだ。

自分が望むタイミングで妊娠するとは限らない。



だから私達も一年だけ避妊して、後は妊活しようとまでは話し合っていた。

昨今でこれだけ不妊治療だの高齢出産だの騒がれているんだ。こういう時、20代はまだまだ若いと思いながらも心の何処かで20代後半ともなるとそろそろヤバイよねぇ。と何となく焦りを感じる。



だけど、雅也は余裕にすら思っているのか


「まー30までには出来るだろ。それまでは二人だけの生活を楽しもうぜ!」

なんて言って、急に後ろからガバッと抱き締めてくる。



もう!

ちょっとは焦ってよね、プロポーズだってホントは2年前くらいから今か今かと待ち侘びてたんだから!


と、思いつつも



「はぁ、なんか憎めないのよね雅也って」
「ん?なんか言ったか?」
「んーん、別に」
「そっか」

結局は何も言えず、その日はまったり2人で食事をしたのだった。