まさかー・・・
ううん、そんなわけない。
それに私、自分の名前は覚えてる。
お母さんのことだって、友達のことも鮮明に覚えてる。
だから、…そんなこと、あるわけない。
私、記憶喪失なんて、そんなのあるわけないよね?
そう信じたい。
あぁそうだ。
きっと、事故でのショックで忘れてしまっているだけだ。
きっと、そのうち思い出す。
とりあえず落ち着こうとそう結論づけたとき、
ガラッ
ドアの開く音が響いた。
ここは個室みたいだから、ずっとシーンとしていた病室に、思ったより大きく音が響いて、思わずビクッと背中を震わせる。
恐る恐るその音を立てた主に目をやるとー・・・
「…あ……っ」
お母さんだ…っ
お母さんは私をみて、しばらく石のように固まっていたかと思うと、涙を流して床に崩れ落ちた。
そんな姿をみて、なぜかお母さんが懐かしく感じ