「それわざと?……もしかしてキスされたいとか?」


「ち、違いま……っ」


言いかけて途中でハッとしたけど、先輩は聞き逃さない。


「……そんなにキスされたいんだ?」


「んっ……やっ……」



何度も何度も落ちてくる甘いキス。

角度を変えて、まんべんなく。


「……う……ぁ……」


わずかに開いた唇から甘ったるい声が漏れる。



「……その声エロすぎ」


「ふぇ……っ」


やだやだ。

気づいたら酸素が足りなくて頭がボーッとして、瞳が涙でジワッとにじむ。



「もっと甘い声で鳴かせたくなる」


「そんな……イジワル言わないで……っ」


「あ、敬語じゃなくなってる」



こういうとき、不意に敬語が取れるときがあるけど、普段から敬語じゃないなんてぜったい無理。


敬語で話すのに慣れちゃってるせい。