結び終わったあと、いつもならできましたって声かけるけど。 今日はちょっとだけ違う。 「……杞羽?」 ネクタイを軽くクイッと引っ張って。 つま先立ちで、ちょっと頑張って背伸びして。 いつもされてばかりだから、 今日はわたしから。 チュッと軽く触れるだけのキス。 これは完全に不意打ち。 だから、暁生先輩はものすごくびっくりして目を見開いたまま。 「っ、……ずるいよ杞羽チャン」 「いつものお返しです……っ」 たまには、わたしが先輩のこと翻弄しちゃってもいいかな…なんてね。