電話越しに聞こえてきた慌てた声。

その声を聞いたら、なんでかもっと泣きたくなった。


「うぅぅぅ……っ」


『いや、どーしたんだよ!なんかあったのか?』


「ちさと……ぉ……っ」


電話をかけてくれたのは千里で。
心配そうにしてくれる千里の声を聞いてたら余計に泣けてくる。


いつも昔から、千里の前では子どもっぽく泣いてしまう。


だって、千里はわたしにとって幼なじみだけど家族みたいな……お兄ちゃんみたいな存在で。


口うるさいのがほとんどだけど、ぜんぶそれはわたしのことを心配してくれる優しさで。



『なんだ、どうしたんだよ。落ち着いて喋ってみろ。待っててやるから』


「落ち着けない……っ、もうやだ無理……っ」


高校生にもなって、こんな泣き方してたら、いくら面倒見がいい千里でも呆れちゃうかもしれない。


なんて心配したけど。


『わかったわかった。んじゃ、今からお前のマンション行くから待ってろ、な?』