カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん



 クリスマスの読み聞かせ会は大成功。


 子供たちの笑顔がたくさん見られたし、
 私も一緒に、たくさん笑った。


「毎週土曜日は、
 1階の絵本の間でお話会をしています。
 また、遊びに来てください。」

 
 たくさんの拍手に包まれて、
 私たちがステージを降りようとした時、

「七海ちゃん、琴梨ちゃん、ちょっと待って。」

 図書館の山本さんが、
 マイクで私たちを呼び止めた。


 ん?
 なに?なに?


「いつも読み聞かせをしてくれる二人に、
 図書館からクリスマスプレゼントがあります。」


 山本さんの言葉を聞いて、
 4人の子供たちが、ステージに上がってきた。


「いつも
 絵本を読んでくれて
 ありがとう」


 小学1年生くらいの子供たちがそう言いながら、
 折り紙で作ったネックレスを、
 私たちの首にかけてくれた。


 そして、小さな箱を、
 私たちに1つずつ、手渡してくれた。


「琴梨、何だろうね?」


 蓋を開けてみる。



 え??

 ゆびわ?



 そこには、
 キラキラ光る小さな石が3つ並んだ、
 シルバーの指輪が、入っていた。


「カワイイ指輪!」


 声を上げる七海ちゃんの方を見ると、
 七海ちゃんの指輪は、
 露店などで売っていそうな
 オモチャの指輪だった。



 私の指輪は……本物っぽいけど……

 どういう……こと?



 その時、
 開場の後ろのドアが開き、
 一人の男性がステージに向かって歩いてきた。



 れ……礼音くん??



 礼音くんの上には、
 ピンクと白いハートの風船が2個、
 ユラユラ浮かんでいる。


 礼音くんは階段を上がり、
 ステージにいる私の前に来た。



 なに?なに?

 これって、どういうこと?



 礼音くんはうつむいていて、
 どんな表情をしているかわからない……


「礼音……くん?」


「やべ、すっげー緊張する。」


「え?」


 礼音くんは目を閉じて息を吸うと、
 ゆっくり目を開けた。


 礼音くんの真剣な瞳が、
 まっすぐ私を見つめている。



「俺、美容師としてもまだまだで、
 本当に琴梨を幸せにできるか自信ないけど……
 ずっと、俺の隣にいて欲しい。

 俺と、結婚してください。」

 

 え……



 礼音くんに、
 プロポーズされた?



 私は予想外の出来事に、
 そのまま固まってしまった。


「琴梨、返事は?」


 ステージ横から七海ちゃんが、
 ニコニコしながら聞いてきた。


 嬉しくて嬉しくてしかたがない。

 大好きな礼音くんが、
 これから一生一緒にいる相手に、
 私を選んでくれたことが。


 私は、
 流れていた涙に気づかないくらい嬉しくて、
 そのまま礼音くんに笑顔を向けた。


「はい。よろしくお願いします。」


 たくさんの拍手に包まれたこのステージ。


 いきなりのプロポーズにドキドキして、
 お客さんがいることを忘れていた。


 急に恥ずかしくなって、うつむいていると、
 礼音くんが私の耳元でささやいた。


「指輪は、二人だけの時にはめてやるから。」


 ドキッとして礼音くんの顔を見ると、
 私の頭を優しくなでてくれた。


 そして私の顔は、
 子供たちにもバレバレなくらい、
 真っ赤になってしまった。