カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


 私はドキドキが止まらなくて、
 爪をこすりながら、
 用意してくれたクッションの上に座った。


「ひゃ!」


 なに?なに?

 なにが起こった?


「琴梨……
 俺の頭、撫でてくれない?」


 礼音くんは、私の太ももに頭を乗せて、
 寝転がった。


 横を向いていて、
 礼音くんの表情はわからない。


 私は礼音くんの頭に手を乗せると、
 優しく頭をなでた。


「俺さ、人に弱み見せるのが嫌いでさ、
 甘えるとかできないんだよね。

 でも、仕事のことで、
 いっぱいいっぱいになることが多くてさ、
 たまにつぶされそうになるんだ……

 俺って本当は、
 弱くて……情けない……

 でも琴梨には、
 こんな弱い俺も知っていて欲しいし、
 今みたいに甘えさせてほしい……

 俺のこと……嫌いになった?」
 

 礼音くんの顔が見えなくて、
 どんな表情をしているのかはわからない。


 でも、
 人に見られたくない自分の弱みを、
 私にだけ見せてくれている。

 そのことが、ものすごく嬉しかった。


「もっと……礼音くんに……

 甘えて欲しい……」


 すごく恥ずかしい言葉が口から出てしまい、
 私の顔の温度がどんどん上がっていく。


 礼音くんが向きを変え、
 膝枕のまま、真剣な瞳で私を見つめてきた。


 どうしよう……

 
 大好きな礼音くんの瞳に
 吸い込まれていってしまう。


 礼音くんはゆっくりと体を起こすと、
 見つめたまま、私の頬に手を当てた。


 礼音くん近づきたい……

 もう少しだけ……

 もう少しだけ……



 そんな思いの中、
 二人の唇が、優しく重なった。



 そして
 ゆっくりと、唇が離れていく。



 私はどんな顔を向ければいいかわからず、
 うつむいていると、
 礼音くんは急に表情を変えて言った。


「琴梨、
 俺がいないと生きていけないって思うくらい、
 俺のこと大好きにさせてみせるから、
 覚悟しておけよ。」


 いきなりの俺様モード。

 さっきまで、甘えていたのに。


 そんな礼音くんが可愛くて、
 つい笑ってしまった。


「甘えてくれる礼音くんも好きだけど、
 俺様系の礼音くんも大好き。」


「琴梨……
 かわいすぎ!」


 そして礼音くんは、
 私をぎゅーっときつく抱きしめた。