カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


 必死に走った。


 後ろも振り返らず走った。


 もう22歳なのに、
 やっていることは高校生の時と変わらなくて、
 自分のことが嫌になる。


 礼音くんは、
 もう私のことなんて
 なんとも思っていないはず。


 こんな、地味で、可愛くもなくて。

 現実を知るのが怖くて。

 傷つく前に逃げ出しちゃう弱い私のことなんて、
 礼音くんが好きになってくれるわけがない。


 私は駅の改札口に着くと、
 帰りの電車の切符を買おうと、
 券売機に小銭を入れた。


 え?


 誰かに後ろからボタンを押されて、
 入れたお金が返ってきた。


「琴梨、あと少しだけ、
 俺に時間くれない。」


「え?」


 私の後ろに立っていたのは、
 礼音くんだった。