カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん

◇◇◇

「礼音、やったじゃないか!」


「よっしゃ~!

 これで俺も、
 お店で髪を切らせてもらえる!」


 美容院に勤めだして早2年半。


 やっと俺は、スタイリストとして
 店に立たせてもらえることになった。


「陽介さんのおかげだな。

 高校の時、ここでバイトさせてもらって、
 陽介さん達の技とか盗んでいたから。」


「礼音が俺に感謝をする日が来るとは。

 高校の時は、
 ちょっと生意気な甥っ子だったのに。」


「いつの話してんだよ。
 もう、あの頃の俺じゃないし。」


「そうだな。
 カメレオン王子の性格を悩んでいた、
 お子ちゃま礼音じゃないもんな。今は。」


「は?なんだよそれ。」


 陽介さんは、俺を見て穏やかに笑った。



 俺は陽介さんの美容院を出ると、
 月を眺めながら家に向かった。



 俺は美容学校を卒業した後、
 陽介さんの店で働きたかった。


 陽介さんの技術も人柄も尊敬しているし、
 美容師として一緒に働くのが夢だった。


 でも、陽介さんは俺を断った。


 『礼音は、俺の美容技術を見て育ってきた。
  もっと、いろんな先輩を見て
  学んだ方が良い』って。


 言われたころは、
 一緒に働かせてくれなくて、
 正直ムカついた。

 でも、
 今は感謝しているし、尊敬している。


 やっぱりすげーな。
 陽介さんは。