カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


◇◇◇

「礼音先輩、久しぶりです。」


「開都じゃん、
 今は大学2年生か。

 どうせ大学は、
 女の子と遊ぶために行ってんだろ?」


「は?
 変なこと言うの、やめてくださいよ。

 勉強してますから。
 それなりには……

 礼音先輩こそ、
 いつスタイリストになれるんですか?

 美容師の国家試験は合格したんですよね。」


「ああ。

 美容師免許は1年前に取れたけど、 
 今はまだ見習いだからな。

 やっとカラーやパーマも
 やらせてもらえるようになった。

 もうすぐ、カットも
 学ばせてもらえるかもって感じだな。」


「早く、スタイリストになってくださいよ。

 それで、俺の髪を切ってください。
 無料で。」


「は?
 俺は、お前の髪を切るために、
 美容師になったわけじゃないからな。」




 俺は高校を卒業して、
 美容師の専門学校に行った。


 そして国家試験をなんとかパスして、
 今は美容院でアシスタントとして働いている。


 高校を卒業して、もう3年。


 俺は21歳になっているが、
 琴梨への思いが消えぬままの日々を
 過ごしている。


 満月が、高い空に浮かんでいた。


 琴梨は今、どこにいるんだろう……


 俺が見ているこの月を、
 琴梨もどこかで、見ているんだろうか……