カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん

 
 ☆礼音side☆
 

 今日は新が寝坊して、
 俺は一人で学校に来た。


 教室まで続く廊下を歩いていると、
 俺の教室の前に
 人だかりができているのに気が付いた。


 なんだよ?
 何かあったのかよ?


 俺がドア越しに、教室をのぞこうとした時、
 琴梨が、泣きながら教室を飛び出した。


 琴梨……?


「美咲、教室で何かあった?」


 俺は教室に入り、美咲に聞いてみた。


「うん、そうなの。

 琴梨ってね、
 小6の時に親友の子と
 誘拐されそうになったんだけど、
 その子を置いて、
 自分だけ逃げちゃったんだって。

 ひどくない?」


 思ってもみなかった琴梨の過去に、
 俺も言葉が出ずに固まってしまった。


「八夜さん、叫んでいたよな。
 大事な絵本がどうとかって。」


「あ、なんか絵本がね、
 ビリビリに破られていたの。

 それで怒っちゃったみたいだよ。琴梨は。

 でも、破られても
 しょうがないような気がするけどね。

 親友を裏切るような子だったんだから。」



 琴梨にとって大事な絵本。


 それはきっと、
 大好きなお父さんが読んでくれたっていうあ
 の本だ。


 『ハチドリと七色のさかな』



 教室は、みんながザワザワと、
 琴梨の悪口を言っている。


 俺は、琴梨の悪口なんて聞きたくなくて、
 教室から逃げ出した。