「八夜さんってさ、
小6の時に
親友を裏切ったって、本当?」
え……
それって……
「俺も聞いた。その噂。
誘拐されそうになって、
八夜さんだけ逃げちゃったんでしょ。
親友を置き去りにしてさ。」
ヒソヒソと話すクラスメイトの声が、
私の耳にも入ってきた。
『親友を置き去りで、
一人だけ逃げちゃうなんて、
ありえないよね。』
『親友の子、
かわいそうすぎじゃない?』
『一人で怖かっただろうね、その子。』
私を見つめるみんなの視線。
あの時と同じだ。
誘拐されそうになった次の日、
小6のクラスのみんなが
私に向けた視線と同じ。
「八夜さんって、
平気で親友を裏切るタイプなんだね。」
「そりゃ、ずっとボッチだったわけだ。」
「八夜さん、教えてよ。
自分だけ助かれば、
親友はどうなってもいいって思った?」
汚いものを見るような目で、
みんなが私を見ている。
そんな目で見ないで……
だんだん私の頭の中に、
小6の時の記憶が鮮明になってきた。
小6のあの事件の次の日、
クラスのみんなが私を取り囲んで言った。
「一人で逃げたんだろ?
お前、最低な奴だな!」って。
今まで仲が良かった友達も、
急に180度態度が変わった。
それから、
一斉に友達に無視され、
教科書やノートに落書きをされた。
『学校に来るな』
『死ね』って。
小6の自分を思い出し、
私はだんだん、
息をするのが苦しくなってきた。
私は立っていられず、
その場にしゃがみ込むと、
耳をふさいで、
呪文のようにあの6文字を繰り返した。
『ごめんなさい……
ごめんなさい……
ごめんなさい……』
涙がとめどなく流れて、
床にぽたぽたと落ちている。
自分の意志では止められない涙が
一瞬にして出なくなったのは、
床に落ちていた、
紙の切れ端を見つけた時だった。
この……紙って……



