カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


 お昼休み、
 いつものように3人でお弁当を食べていた。


「琴梨ちゃん、1年生が呼んでいるよ。」


 その言葉でドアの方を見ると、
 そこには、開都くんが立っていた。


 恥ずかしそうに、うつむきながら。



 開都くんとは……

 美容院で髪を切った日以来、
 話していない。


 学校ですれ違っても、
 視線を合わせることなく、
 通り過ぎたりしていた。


「開都くん……あの……」


「琴梨先輩……ごめんなさい。」


「え?」


「俺、あの日振られたけど、
 やっぱり琴梨先輩のこと、諦められません。

 俺と、付き合ってくれませんか?」



 教室にいる全員が、
 一斉に私たちの方を見た。


 もちろん、
 廊下にいる人も。


 え?

 ええ??

 いきなりの告白。


 しかも、みんなに聞かれているし……



「琴梨先輩……
 俺じゃ……ダメですか?

 頼りがいないし……
 男らしくもないし……」


「急に言われても……」


「じゃ、今日の帰り、
 俺と一緒に帰ってくれませんか?」


「……うん……それなら……いいけど……」


 私の言葉に、
 急に目をキラキラさせた開都くん。


「それじゃ、
 終わったら校門の所で待ってますから。」


 そう言って、自分のクラスに戻って行った。


 クラスのみんなの視線が、
 私に突き刺さっている。


 自分の机に戻り、ふと顔を上げると、
 礼音くんが悲しそうな目で
 私を見つめていた。



 どうして……
  
 そんな目をするの?



 礼音くんには……

 美咲ちゃんがいるでしょ……



 私は礼音くんと交わっていた視線を、
 そっと外した。