カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


◇◇◇
 
 あの時の私は、
 美咲ちゃんを失いたくなかった。


 教室でまた独りぼっちになるのが怖かった。


 それなのに……

 今のこの状態は何なんだろう……



 そんな思いを抱きながら
 ボッチで数日過ごしていたら
 思いがけないことが起こった。


「琴梨ちゃん……
 一緒にお弁当……食べない?」


「え?」


 モジモジしながら話しかけてきてくれたのは、
 同じクラスの桃ちゃんと、奈那ちゃん。


 アニメが好きで、
 クラスではおとなしめな二人。


「私も一緒に食べてもいいの?」


「うん。
 この前、琴梨ちゃん、
 荷物を運ぶのを手伝ってくれたでしょ。

 その時……嬉しかったから……」


「本当は、
 もっと前から琴梨ちゃんと
 話してみたいなって思ったんだけど……

 私なんかが話しかけて迷惑かなって思ったら……
 なかなか声がかけられなくて……」


 う……嬉しい……


 私と友達になりたいって
 思ってくれていたなんて……


 友達になってと声をかけるのには、
 ものすごく勇気がいる。


 断られるかもって思ったら、
 私だったら行動ができない。


 それなのに勇気を出して、
 私を誘ってくれたんだ。この二人は。


 
 私は教室だってことを忘れて、
 ヒックヒック泣いてしまった。


『八夜さん、泣いてるぞ。』


『何かあったのか?』


 クラスのみんなの
 ヒソヒソ話が耳に入ってくる。


 でも不思議と、
 そんなことは全く気にならなかった。


「桃ちゃん、奈那ちゃん、ありがとう。」


 二人のおかげで、
 教室での一人ボッチ生活から脱出できた。