カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


 琴梨が俺を呼んだ理由って、
 そんなことかよ……


 それって、
 俺にこいつと付き合えって
 言ってるんだよな?


 俺らが付き合っても、
 琴梨はなんとも思わないってことだよな?


 
「礼音くんと美咲ちゃんなら、
 お似合いだと思うよ。」


 琴梨が俺の瞳を見つめ微笑んだ。


 俺だけに向けられた琴梨の笑顔。


 ずっと見たくてしょうがなかったのに……


 今のお前の笑顔だけは、見たくない……



 琴梨の後ろにずっと隠れていた城山が、
 モジモジしながら出てきた。


 え?

 うそ……だよな?


「そのヘアピンって……」


「これ?
 琴梨がつけてくれたの。
 似合うかな?」


 城山は上目遣いで、俺を見つめてくる。


 そのヘアピンは、
 読み聞かせ会の時に、
 俺が琴梨につけてあげたもの。


 俺の物を何か持っていて欲しくて、
 無理やり琴梨にあげたもの。


 俺たちを繋ぐ唯一の物だったのに……

 もうそれさえも、いらないってことかよ。


 もういいや……

 琴梨のことなんて……

 もう、どうでもいい……



「俺、山城さんと、
 付き合ってもいいけど。」


「え?本当?信じられない!!

 琴梨のお陰だよ!ありがとう!」


「良かったね、美咲ちゃん。」


 感激している城山の隣で、
 琴梨は、自分のことのように喜んでいる。



 琴梨って、残酷な奴だよな……


 俺をふっておきながら、
 友達と付き合えって言ってくるんだもんな……


 俺の気持ちなんて……
 どうでもいいんだろうな……


 俺はもう、
 琴梨のことがどうでもよくなり、
 この恋を、終わりにすることにした。