カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん


◇◇◇

今朝もいつものように、
新と一緒に学校に向かっている。


「礼音さ、本当にいいの?このままで。」


「は?何が?」


「何がじゃねえよ。

 八夜さんのこと、
 気になってしょうがないんだろ?」


「……」


「最近の八夜さんさ、
 どんどん可愛くなってるじゃん。

 城山さんと一緒にいるようになってから、
 メガネからコンタクトに変えて、
 髪も下ろしてくるようになってさ。」


「ああ。」


「クラスの男子が騒いでたぞ。
 『八夜さんって、結構かわいい』ってさ。」



 新の言う通り。


 最近の琴梨は、
 どんどん可愛くなっている。


 クラスのみんなにも、
 控えめだけど話をするようになって、
 みんなに微笑みかけるようになった。


 は~


 あの琴梨の笑顔は、
 俺だけが独り占めしたかったのに。

 逆に俺だけが、
 琴梨から笑いかけてもらっていない。


「俺さ、なんで琴梨に、
 嫌われちゃったんだろうな……」


「礼音さ、本当に嫌われてるわけ?

 話しかけてみたら、
 意外に前みたいに戻れるかもよ。」


「新は簡単に言うけどさ、
 琴梨に話しかけられないんだよ。

 拒否られたらグサって傷つくよ。俺。」


「じゃあ、
 このまま八夜さんと距離を置くの?

 他の男に、
 ヒョイっとさらわれても知らないからな。」


「新、なんとかしてくれよ。」


「礼音が勇気出して、八夜さんに声を掛けたら、
 協力してやる。」


「絶対!約束だからな!って、
 それができないから困ってんじゃん。」


「そろそろ学校が近いから、
 カメレオンモードに入った方がよくない?」


「だな。は~。

 俺はいつまで、自分を偽って生きてんだろうな。

 俺を見て、バカだなって思うだろ?」


「まあな。」


「新……」


「だけど、お前の苦しみも知ってるから、
 礼音の思うように生きればいいと思うけどな。」


 新のそういうところが好きだ。


 俺にズバズバ言う割に、
 俺の思いをわかろうとしてくれる。


「俺、琴梨に声を掛けてみようかな。」


「良いじゃん。
 なんか、学校に行くのが楽しみになってきた。」


 新の奴め……

 ヘタレな俺の行動を楽しみにしてやがる!


 さっき新を褒めたけど……
 前言撤回!!